相ノ木西町
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Last up date 2005.1
「名、呼ばるるものたち もの食うものたち」 中村 聡
世の中には、思わずニヤリ、とか何だこりゃ、と首をひねったり、変わった名前を持つ生き物がいます。
名前から姿形を思い浮かべたり、どんな気持ちでこんな名前を付けたのだろうかと、思いを巡らせたり、最近の私の密かな愉しみです。
そんな私家版
「面白名前辞典」
から二、三紹介しますと、先ず、
「テヅルモヅル」
。漢字で書くと「手蔓藻蔓」。これはクモヒトデの類で、中心の盤の周囲の腕が次々に何回も分岐し、組んずはぐれつ状態になるものです。どうやら咳・疾止めの薬効があるらしく、大阪では黒焼きが 「天鶴霜」、朝鮮半島では「三千足」と名付けられて、売られていたようです。
次に植物に移りまして
「継子の尻拭い」
(ママコノシリヌグイ)この草には、茎にも葉にも、逆向きの刺が生えていて、それでもって、継子を苛めるというのが名前の由来らしいのですが、はてさて、どこぞに実際にその様な事をした継母がいたのか、何もなくてこんな名前を思い付いたとしたら=・=・。
ところで、あるものに名前を付ける時に、その形状の特徴で表す事がよくありますが、これでもかとばかりに特徴を並べ立てたのが
「オバケオオズデオヒラタムシ」
これをにらんで、漢字で書けたら、私、あなたを尊敬します。後ろから順にいくと、ヒラタムシは扁平な形をした甲虫。ズデオは、「頑出尾」。そして、オバケは、「怪物」と書きます。つまり、大きな頭をして尾が出た、容貌怪異な平べったい虫、というわけで、「怪物大頭出展扁虫」。いずれにしても、一度実物を見てみたい。
さて、名前と並んで興味を引かれるのは、生き物は何を、如何にして食うかという事です。例えば、ヒトデは主に飲み込み型と反転胃型に分けられます。反転胃とは、口から胃を反転させて体外に出し、餌に押し付けて体外消化するものです。オエ、気持ちフリイ、と言うなかれ。大型の動物を捕食できたり、貝殻の隙間から入り込んだり、これはこれで効果的で高度な摂食法らしいですよ。
最後に、下手なホラー映画など及びも付かぬ恐ろしい話題を一つ。
「アゲハヒメバチ」
という、名前は可愛いらしげな蜂ですが、実は寄生蜂です。揚羽煤の幼虫に卵を生み付けます。幼虫の体内で照化して一齢幼虫になり、ある時を待ちます。つまり、宿主、この場合蝶の幼虫が桶になる時に分泌される特定のホルモンに反応して、脱皮を始める訳です。ところで、産み付けられる卵は一個だけとは限りません。いわば兄弟、或いは仲間が同じ宿主の中で一斉に二齢幼虫になるのですが、ここからが凄まじい。
二齢とは、さしずめ戦闘モード。全く食べず、宿主の体内をひたすら歩き回る。そして、仲間と出会うと戦いが始まる。傷付いた方は死に、最後に残った一匹が、宿主を食らいながら三齢、四齢と育ち、やがて成虫となって、煤の嫡を破って出て来る。
卵胎生の鮫の胎児も、母親の胎内で胎児同士が争い、生き残ったものが産まれてくると聞いた事がありますが、外敵との戦いの前に仲間同士の生存競争があるとは、何とも厳しいものです。
それにしても、エイリアンの様な蜂の幼虫が敵を探して自分の体内を歩き回る時の蝶の気分や如何に。そして、ひらひらと優雅に舞う蝶が、そこまで育つまでには、
何という幸運に恵まれてきた事か、想いを馳せずにはおられません。
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